南仏プロヴァンスの石造りの街並み

一年中太陽の光が優しく包み込む南仏。穏やかな気候とアズール色と呼ばれる青い海、そして手付かずの美しい自然がそこにはあります。ゆったりとした時間が流れていて、まるで楽園のような心地よさ。ピカソやシャガールなど、20世紀を代表する芸術家たちも、南フランスに魅了されてきました。現在も退職後、わざわざ南仏に移住するフランス人も多くいるほどです。

フランス人を惹きつける南仏ですが、その魅力のひとつは、プロヴァンススタイル建築にあります。美しい自然の中に、温もりがあって魅力的な建築物が佇んています。私が訪れて実際に目にした魅力的なプロヴァンススタイルの建築物をご紹介します。

プロヴァンススタイルの家の外観

南仏プロヴァンスの石造りの街並み ビタミンカラーの外壁の家が並ぶ

南仏プロヴァンスの街並み かわいい色の家が並ぶ一角

南フランスを訪れてみて、まず最初に惹きつけられるのが、プロヴァンススタイルの家の外観です。ニースやマントン、そしてお隣の国イタリアにも、コートダジュールの美しい海の青さに負けないぐらい、ビタミンカラーの建築物が多く存在します。プロヴァンススタイルの家の特徴のひとつとして言われているのが、外観に温もりのある色を使うことです。黄土色、オレンジ、黄色やピンク色などが使用され、どこかおとぎ話に出てくるような温もりのある可愛らしい作りの建築物です。

 

イタリアの国境の街マントンのすぐそばにあるロックブリュン村、歴史ある石造りの建築物

もちろん、南仏の全ての家がビタミンカラーという訳ではありません。温もりが感じられる石造りのある家も多く見られます。イタリアの国境の街マントンのすぐそばにあるロックブリュン村には、歴史ある石造りの建築物が多くありました。

風化され剥がれ落ちている部分もありますが、かえって趣があって味わいが感じられます。このような石をひとつひとつ積み上げて作られた建築には、現代のような技術のなかった時代の職人さんたちの想像を絶するような努力があります。建築物を前にするだけで、感動を覚えるようでした。

 

リュベロン地方自然公園域内にあるフランスの最も美しい村のひとつ、ゴルドの石積みの建築物

フランスの最も美しい村のひとつゴルドの風景

リュベロン地方自然公園域内にあるフランスの最も美しい村のひとつゴルドの石積みの建築物も印象的でした。ゴルドでは近くの採石場で取られた白のベージュの混じったような色の石を積み上げて作られた城壁が有名です。温もりのある石積みの城壁に囲まれて、石造り建築物が佇む街並みは、清楚で素朴な美しさが感じられるほどです。

カラフルな南仏の雨戸

ラフェルムでも見られるフランスの雨戸フレンチヴォレ

フランスでは、雨戸といえばステンレスではなく木製が一般的。太陽の光を遮るカーテンのような役割を果たしています。特に夏場はこの雨戸が活躍します。クーラーのないフランスでは、30度を超える日などは、日中でもこの雨戸を締め、部屋の温度が上がらないようにするのです。

パリでは、基本的に白などの落ち着いたトーンの雨戸が多いのですが、南仏では、カラフルな雨戸をよく見かけます。南仏では白やベージュ色の石造りの建築物の雨戸は、青や緑のパステルカラーがペイントされていました。パステルカラーの雨戸は建築物を引き立たせ、素朴な美しさの中に、なんとも言えない可愛らしさがありました。

また、ビタミンカラーの建築物は、大胆に深緑や鮮やかな緑が塗装されていました。遊び心が感じられる配色が多く、眺めているだけで楽しくなるような、陽気な雰囲気を醸し出しています。

このフランスの雨戸は日本ではフレンチヴォレーと呼ばれ、アンティークのものなどは、なんとも言えない風化具合が雰囲気を醸し出し人気があるのだそうです。

オレンジ色の瓦屋根

南仏らしさあふれるオレンジ色の屋根瓦が並ぶ風景

南仏のオレンジの瓦屋根は、上から見ると筒状のようですが、実際には筒を二つに割った半円の瓦屋根が使われているのが特徴

プロヴァンススタイルの建築と言えば、オレンジの瓦屋根が有名です。高台に登れば、オレンジの瓦屋根が一面に広がり、その後ろには美しい地中海が一望できます。オレンジと青のコントラストが美しく、コートダジュール特有の景観を生み出しています。

南仏のオレンジの瓦屋根は、上から見ると筒状のようですが、実際には筒を二つに割った半円の瓦屋根が使われているのが特徴です。一色に統一されている瓦屋根もあれば、オレンジや茶色など複数の色を不規則に組み合わせる瓦屋根もあります。特にこの不規則な色の屋根が味わい深い美しさとなっているのです。

オープンな庭やテラス

パラソルやデッキチェアなども置かれ、まさにくつろぎを重視した南仏の町

一年中温暖な気候に恵まれる南仏では、晴れた日は青空の下で食事をしたりと、外で過ごすことも多いことから、プロヴァンススタイルの建築には魅力的な庭やベランダが多いのも特徴です。庭やベランダへの開口部が大きく、外と内を簡単につなぐ役割をしています。家と庭が一体化しているような印象を受けるほどです。庭にはパラソルやデッキチェアなども置かれ、まさにくつろぎを重視した空間となっています。

以前、泊まったコートダジュールのアパートでは、屋上階はキッチン付きのリビングバルコニーとなっていました。目の前にはコートダジュールの海が広がっているというなんとも言えない贅沢な空間。外と内の境界線がなく、家にいながらも、美しい海がいつでも感じられる開放感溢れるスペースとなっていました。

コートダジュールの人たちにとって、さんさんと輝く太陽の光と穏やかな地中海の風が感じられるのは、至福のひとときなのだそう。南仏の庭からは、慌ただしい日常生活であっても、リラックスした暮らしを楽しもうとする南仏の人たちの姿勢が感じられます。

ガーデンプール

南仏リゾート地でよく見られるガーデンプールのある家

最後に南仏の建築の中で、印象に残ったのが、ガーデンプールのある家の多さです。高台からはあちらこちらにガーデンプールのある一軒家やアパートが多く見られます。南仏の人たちにとって、プールサイドでゆったりと過ごすひとときは、何にも代えがたい幸福。喧騒から離れ、リゾート気分を味わえるこのガーデンプールという空間は、常にくつろぎのある暮らしを実現してくれるのだそうです。

何度も南仏を訪れる中で、プロヴァンススタイルの建築が佇む街の可愛らしさや美しさなど外観に魅了されてきました。そして、建築スタイルを通して、そこに住む人たちの日常を垣間見ることもできました。プロヴァンススタイルの建築からは、日常の中にリラックスできる癒しの空間を作ることの大切さを学ぶことができるようです。

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