
フランスには、小さくても魅力的な街や村がたくさん存在します。絵本に出てくるような可愛らしい街並みや、どこか懐かしさが感じられる素朴な風景があります。そんなフランスの小さな街を散歩するこのシリーズ。今回はフランスの中部の街ヴィシーにご案内いたします。
歴史のある街
フランスの中部に位置する街ヴィシー。ナポレオン3世の時代に街の再開発が行われたり、第二次世界下では、パリをナチス軍に占拠されたフランスは、ヴィシーを首都に置きました。フランス近代史において重要な役割を果たした街です。現在のヴィシーは、そんな歴史の名残が感じられる街という印象を受けました。
温泉と水の街ヴィシー

フランスにおいてヴィシーといえば、まず温泉郷を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。ヴィシーには、30箇所を超える噴泉口があり、なんと温泉街としての歴史はローマ時代から始まるのだとか。かつてヨーロッパの貴族たちが温泉保養に訪れたほどで、現在も街の中心部には温泉療法施設が立ち並んでいます。ヨーロッパ随一の温泉町というだけあって、保養地っぽいのどかな雰囲気が漂っています。


そんなヴィシーの源泉は、炭酸塩を多く含んでいて飲泉することができます。ヴィシーでは、治療目的として処方箋を書いてもらい飲泉するのだそうです。街の中心部に位置するSources des céléstins (セレスタン源泉)では、自由に飲泉することができました。温泉水は、ちょっぴり塩っぱくてなかなか独特な味がしましたが、確かに効能がありそうだと感じさせる水でした。
ヴィシーの憩いの場アリエ川

ヴィシーの街の憩い場になっているのが、アリエ川です。ヴィシーを訪れたのは、夕暮れときでした。街の中に入るために、アリエ川の橋を渡ったのですが、ぼんやりと街灯が川面に映し出され、なかなかの情緒ある雰囲気。

翌日改めて、アリエ川沿いを散歩してみました。初夏を思わせるような暖かな日ということもあり、家族連れで賑わっていました。アリエ川にはビーチがあり、砂遊びをする子どもの姿や、ランニングをする人や、川沿いの遊具で遊ぶ子どもたちの姿がありました。街の人の憩いの場となるように、しっかりと整備されています。心地の良い雰囲気が流れていました。
ヴィシーの建築物
第二次大戦下ヴィシーが首都に置かれた理由は、ホテルなどの施設が充実していたのがひとつの理由と言われています。ヴィシーには、ナポレオン3世の時代に街の再開発されたときの、絢爛な建物が現在も残っています。


こちらはヴィシーで有名なAletti Palace Hôtel(アレッティ・パラス・ホテル) 。アール・ヌーヴォー、アール・デコ、ネオクラシックなどの建築様式が入り混じった建築物。古く良き時代の名残り香が現在にまで感じられるようで、街の中でも一際美しく存在感のある建物です。

街の中心地に位置する公園には、1865年に建築されたカジノ、1903年に建設されたお布良ハウスがあります。どちらの建物も、かつて貴族が保養地に訪れた地というだけあり、豪華絢爛な造りとなっています。


ヴィシーを歩いていると、どこかイギリスっぽい雰囲気が漂ってきます。ヴィシーはフランスでは珍しいイギリス様式の建築物が立ち並ぶ通りがいくつもあります。

またヴィシーの中心部には、 アール・ヌーヴォー調のアーケードがいくつもあり街のシンボル的な存在となっています。
ヴィシーは、様々な建築様式の建物が入り混じっていることが、この街の魅力。建築物から街の歴史が感じられます。
ヴィシーの胃袋、マルシェ


今回ヴィシーには、5泊滞在したので、マルシェにもよく足を運びました。マルシェでは、この地域で取れた新鮮な野菜・果実のスタンドが立っていたり、この地区の名産のチーズが販売されていたりと、見て回るのも楽しいものでした。
ヴィシーの名産パスティーユ


最後にご紹介したいのが、ヴィシーで涌き出た温泉水で作られたキャンディー、パスティーユ・ド・ヴィシー。こちらのキャンディーはフランス全土のスーパーで購入できるほど、ヴィシーの名産となっています。ミント味が特徴的なキャンディーです。2025年で丁度200周年を迎えるのだそうで、町中にパスティーユ・ド・ヴィシーの旗が立っていました。歴史あるヴィシーの名産菓子です。

ヴィシーは温泉街ならではの、のどかさと歴史感じさせられました。ヴィシーは非日常感ならではのゆったりとした雰囲気が心地よい、そんな街です。