
夏の終わりのマルシェ。熟したトマトが山積みになっている光景があります。お値段もびっくりするほど安価で、ストックのトマトソースを作るフランス人も多くいるほど。実は熟した夏野菜が出回る時期に作る南仏料理ラタトゥイユが凄く美味しいのです。今回はそんなラタトゥイユを私の個人的なエピソードと共にご紹介してみたいと思います。
義理の祖母のラタトゥイユ

私が初めてラタテゥイユを食べたのは、南仏に住む義理の祖母のおうち。今年で98歳になる義理の祖母は、彼女の夫の定年後にパリから南仏に移り住みました。根っからの南仏の人という訳ではありませんが、南仏に移り住んだ頃から、南仏の料理を食卓に取り入れるようになったのだそう。そんな義理の祖母宅に行くたびに、南仏料理で私たちをもてなしてくれました。アイオリ、南仏の肉詰め料理ファルシ、ズッキーニの花の天ぷらなど。どれも本当に本当に美味しくて、義理の祖母の南仏料理の虜になりました。今では私、フランスの郷土料理の中で南仏の料理が一番好きなぐらい。
そんな義理の祖母の南仏料理の中で好きなものの一つが、ラタテゥイユ。初めて食べたのは、ある年の8月中旬。熟したトマトの甘みと茄子やズッキーニ、玉ねぎの凝縮された美味しさに、思わず「美味しい〜!」という言葉が咄嗟に出たほどです。ものすごく暑い日が続き、クーラーもない夏のフランスで、食欲も落ちていた時だったので、生き返る…と感じたのを今でも覚えてきます。
南仏は気候も良いことから、野菜がダントツ的に美味しい!南仏の野菜は「太陽の恵」と言ってもいいほど、他の地方の野菜とは旨みが違うのです。そんな南仏の料理は野菜の美味しさを生かしたものが多く、ラタテゥイユも野菜を煮込んで、味付けをしたシンプルな料理なのです。
ラタテゥイユのレシピ

野菜を煮込むだけのラタテゥイユですが、南仏の伝統的なレシピによると、手の込んだ煮込み料理。実は各家庭によって煮込み方が異なるという奥深い料理なのです。
今回は義理の祖母に教えてもらったラタテゥイユのレシピを紹介したいと思います。
材料4人分
トマト 750kgから1kg
ズッキーニ 500g
茄子 500g
玉ねぎ 500g
ニンニク 一片
オリーブオイル 塩胡椒
レシピ
1 湯むきしたトマトを切ります。ズッキーニと茄子、玉ねぎの皮を剥いてお好みの大きさに切ります。ニンニクは微塵切りをします。
2 大きめの鍋にオリーブオイルを多めに入れ、ニンニクで香りづけをして、トマトを入れて、中火から弱火で煮込みます。
3 オリーブオイルを入れたフライパンで玉ねぎを炒め、蓋をかぶせて弱火で煮ます。茄子とズッキーニもフライパンで同じように煮ていきます。
4 3の野菜がしんなりしてきたら、2の鍋に入れて煮込みます。野菜がしんなりするまで煮込みましょう。塩胡椒で味を整える。野菜の形が崩れるほど煮込んでもOK。個人の好みで煮込む時間は調節してみてください。野菜が熱が取れたら、冷蔵庫で冷やしましょう。
このレシピのように手の込んだラタテゥイユが一番美味しいのは確かなのですが、オリーブオイルでニンニクを香りづけした後に、全ての野菜を一緒に煮込むという簡単レシピもあります。時間がない時は、全て一緒に煮込むラタテゥイユを作ってみてくださいね。
アレンジ ラタトゥイユ丼

毎回ラタテゥイユを作るときは、一回では食べきれない量となります。冷やしたラタテゥイユだけを食べると、どうも飽きてきてしまいます。そんな時、我が家で残りのラタトゥイユをどうするのかというと、ラタトゥイユ丼にして食べます。ラタトゥイユはパンとの相性がいいのですが、意外にもお米とも合うんです。レシピは簡単、丼にご飯を入れ、その上からラタトゥイユと温泉卵を載せるだけ。ラタトゥイユととろとろの温泉卵が絡み合って美味しいのです。ぜひお試しを!
最近ラタトゥイユを作りましたが、うちの人に「自分が作るラタトゥイユより美味しかった。なぜ?」と聞かれました。「秘密は甘みがたっぷり感じられる熟した野菜を使ってるから!」。ラタトゥイユは夏料理として有名ですが、初夏に作るものより、夏の終わりから秋の初めにかけて作るラタトゥイユの方が美味しいのです。形も不恰好だけど、夏の熟した野菜で作るラタトゥイユは格別の味。そして、去りゆく夏の中で食べるラタトゥイユは、夏の名残惜しさもどこか感じられます。肌寒くなりつつありますが、ぜひ夏の南仏料理ラタトゥイユ、お試しくださいね。