フランスで子育てをするようになってから、日々の食卓の風景が少しずつ変わっていきました。家族で囲むテーブルでは、食事そのものだけでなく、ふるまいや過ごし方までもが大切にされています。今回は、そんな経験を通して気づいた、フランスの家庭で大切にされているテーブルマナーについて綴ってみたいと思います。

手はテーブルの上に

フランスのテーブルマナーで日本とは違う習慣なのが、食事のとき手はテーブルの上に置くことです。日本だと食事の際に手を膝の下に置くことは、普通のことです。しかしフランスでは、日本人が気をつけなければならないテーブルマナーのひとつ。食事の際に手をテーブルの上に置く理由は、暗殺が横行していた時代に「私は武器を持っていません」というアピールだったことに起因しているのだそう。勿論今はそういったアピールが必要な時代ではありませんが、その当時の習慣が現在のテーブルマナーとなっています。

フォークは左手、ナイフは右手

フランスでは右利きであれば、フォークは左手、ナイフは右手で持たなければなりません。食事中は、例えばお肉をフォークで切った後も、そのままフォークは左手、ナイフは右手のまま、持ち替えません。日本だと切ったあとは、フォークを右手に持ち替えますが、フランスではずっとフォークは左手、ナイフは右手のまま食べ続けます。そして食べ終わったあとは、フォークとナイフを揃えて斜めに置くことで、食事が終了したという合図となります。

会話に参加

フランスのテーブルマナーは堅苦しそうというイメージがありますが、フランス人が最も大切にするテーブルマナーは、食事の時間を共有し、会話を楽しむことではないかと思います。アペロから始まりデザートで終了するフランスの食事はとにかく長く、その間に会話に参加することは大切なこと。

フランスでは子どもも食事中に大人の会話に参加するように育てられます。勿論大人の難しい話題に無理やり参加させるのではなく、子どもに合わせた会話を交わしながら、「食事は会話を楽しむ時間」ということを自然と学ばせます。

興味深いのは、思春期の子どもであっても、食事中に黙り込むことがあまりないこと。話に耳を傾け、会話に参加しています。そんな光景を見ていると、このようにして、食事中に会話を楽しむことが自然と身につくんだなということが実感させられます。

食後にすぐに立たない

フランスでは食事の後、すぐに席を立たないのがマナーです。特に子どもは自分の食事が済んだからといって、テーブルを離れることは良くないこととされています。これは文化の違いですが、食事が終わり、「ごちそうさま」とささっとテーブルから離れ遊んではいけません。全員が食事が終わるのを待つか、子どもは自分が食事が済むと、「テーブルから立って良いか」と聞かなければなりません。このマナーは、前記した通り、食事中は会話に参加するというテーブルマナーから起因しています。食事は会話を楽しむ時間ということを学ばせるために、自分が食べ終わっても大人と一緒にテーブルに残り会話を楽しむということが大切なのです。

フランスのテーブルマナーって厳しそう…というイメージがありましたが、基本的なルールはあるものの、フランスのテーブルマナーは食事は会話を楽しむ場所という姿勢なのだと実感させられます。フランスのテーブルマナーを通して、食事とは、大切な人たちと楽しみ、時間を共有するものだということを教えてくれているようです。