
7月になると夜9時でも日が暮れず、夕方特有の涼しい風が心地よく感じられるフランス。梅雨のないフランスでは、6月ぐらいから夏が始まります。子どもたちの学校もそろそろ終わり、夏休み直前といったムードが流れています。この時期のフランス人は夏のヴァカンスに向けてどこか心が高揚しているよう。そんなフランスの夏を愉しむ暮らしをお伝えします。
夏の愉しみといえば旅行

夏を前にすると、度々話題に上がるのが、夏の旅行のこと。「今年は南仏へ1週間行く。」、「友達の別荘に2週間招待されているんだ。」など、ほとんどのフランス人が夏のヴァカンスへ立ちます。1〜2週間も夏休みを取れるの?と日本人からすると少しびっくりしてしまうかもしれませんが、フランスでは最低5週間の有給が義務としてあるので、夏に2〜3週間の休暇を取って、旅行に行くことは至って普通なことなのです。
それにフランス人はヴァカンスのために働いていると言われるほど、夏の旅行が大好き。海辺や山に行って、仕事のことをすっかり忘れて、ゆったりと過ごす。そうすることで心身ともに癒され、「また明日から仕事を頑張ろう !」と前向きな気持ちになるのだそうです。夏のヴァカンスはフランス人にとっては、人生のエッセンスのひとつなのです。
また、子どもたちも夏の旅行は一年の中でも楽しみな行事。普段の生活の中ではなかなかすることができないアクティビティを楽しんだり、山、海、川などの自然に触れたり、楽しいことばかりの夏の旅行。真っ黒に日焼けをして、生き生きとした子どもたちの姿も印象的!夏のヴァカンスを体いっぱい愉しむのです。毎年このような夏のヴァカンスを必ず過ごすので、小さい時からこの習慣は必要なこととして体に染み付いているんだなぁという印象を受けるほどです。
アペロの季節

日がなかなか暮れない6、7、8月はフランスではアペロの季節と呼ばれています。昼間は30度近く気温が上がっても、夕方になればからっとした涼しい風が吹くので、外で冷えた白やロゼワインやビールなどを飲むのが気持ちがいいのです。なぜでしょうか、不思議とテラス席で飲むお酒は格別。「美味しい〜」と思わず声に出したくるほど、特別な美味しさが感じられるのです。
この季節は夕方になればレストランやカフェのテラス席は人で埋め尽くされています。ただただ友人たちとお酒を飲みながら、おしゃべりをして、カフェのテラスで過ごす時間は、心地がいいもの。涼しい風を感じながら、暮れていく夕日を眺め、お酒を飲む。本当にシンプルな時間ですが、不思議と人生って美しいなぁとしみじみ感じられるのです。
フェスティバルを愉しむ

この時期、日本でも同じですが、フランスでも様々なフェスティバルや野外コンサートが開催されています。6月21日は音楽の日とされていて、フランス全土でプロからアマチュアの演奏が路上やホールで開催されています。夕方から夜にかけて、様々な音楽を聞き歩くというのが、この日の愉しみ。日本のお祭りのムードに似ていて、開放感溢れる野外で高揚感を感じながら、次から次へ演奏を聞くのは、ただただ楽しい時間なのです。
音楽の日以外にも、フェスや野外映画、川沿いでのイベントなども開催され、夏ならではの愉しみが満載です。
夏の食の愉しみは夏野菜

夏になるとマルシェには、トマト、きゅうり、ズッキーニ、茄子などの夏野菜が並びます。
特に地方のマルシェでは、小規模の生産者がリヤカーで運んだ野菜が販売されています。ちょっぴり泥がついていたり、野菜の形がいびつだったり、市場で並ぶ野菜とは違いますが、これが特別美味しい!夏の太陽をしっかりと浴びて育った野菜は、甘みがギューっと凝縮されているようです。夏野菜を食べれば、夏の暑さで落ちた食欲も、不思議と回復されるように感じられるほどです。
フランスには、様々な夏の料理があります。ラタトゥイユやアイオリ、ファルシなど、夏野菜をふんだんに使った料理があります。フランスの風土にあった夏料理で、夏の恵を感じながらいただきます。

また、フランスでは夏になると果物が特別美味しいのです。6月頃からさくらんぼが並び、苺、アプリコット、レンヌクロード、ミラベル、桃や無花果などが並びます。フランスでは果物は安価な値段で販売されているので、野菜感覚で果物を食べます。暑さで疲れた時に食べる果物は、瑞々しさが身体中に染み渡るようで、疲労が回復されたような気になるのです。
これらの果物をジャムにする愉しみもあります。日本でも6月は梅仕事をするように、フランスでも夏は1年間の保存食としてジャム作りをします。何キロという果物を買ってきて、大きなお鍋を使ってコトコトと果実を煮込んでジャム作りをします。市販のジャムとは違って、甘さや果実の量を調節することができるのが嬉しいと、フランスでは年々ジャム作りをする人が増えてきています。
日本ももうすぐ梅雨明けをして、夏本番が始まります。日本とフランスの夏は違いますが、夏に向かうとどこか心が高揚するもの。暑い毎日ですが、夏をお楽しみくださいませ。