フランスには、小さくても魅力的な街や村がたくさん存在します。絵本に出てくるような可愛らしい街並みや、どこか懐かしさが感じられる素朴な風景があります。そんなフランスの小さな街を散歩するこのシリーズ。今回はブルゴーニュ地方になる世界遺産の小さな村、ヴェズレーにご案内いたします。
聖なる丘の上に佇むヴェズレー
初夏の香りが漂い始める5月の下旬。気持ちいいほどの緑が生い茂る北ブルゴーニュの田舎を訪れました。
牛や羊がのんびりと暮らす長閑な田園風景の中、車を走らせて行くと、丘の上にオレンジの屋根が特徴的な小さな村が見えてきました。そう、ここは世界遺産としても有名な村ヴェズレー。
スペインへと続く巡礼路の起点であり、かつてマグダラのマリアの遺骨が眠っていると信じられていたこの村。そんなヴェズレーの村が佇む丘は「聖なる丘」と呼ばれています。
朝霧がある時は、村が霧に覆われてまるで浮かんでいるように見えるのだとか。まさに「聖なる丘」と呼ばれるのに相応しい、さぞかし幻想的な風景が広がるそうです。
村のメインストリート・サンピエール通り
村の入口はいくつかありますが、その中でも有名なのが、村のメインストリートでもある、サンピエール通り。
ここにはレストランやホテル、パン屋さん、郵便局、商店が集まっています。
ヴェズレーはかつては宿場町として栄えました。現代も宿場町としての面影を残しており、ヴェズレーから近いワインで有名な村シャブリのお店や古物商、アートギャラリー、レストランやカフェなど様々なお店が集まる賑わいを見せています。
サンピエール通りを真っ直ぐ歩いていくと、世界遺産に登録されているサント・マドレーヌ・バジリカ聖堂にたどり着きます。とても小さな村なので、お店をぶらぶらと見て歩いているとあっという間に聖堂に着いてしまいます。
サント・マドレーヌ・バジリカ聖堂
サント・マドレーヌ・バジリカ聖堂は、丘の上にその存在感を放ちながらどっしりと佇んでいます。ブルゴーニュ・ロマネスク建築の傑作と呼ばれるこの聖堂を前にすると、その外観から美しさ、清らかさ、厳格さを肌で感じ取ることができます。
サント・マドレーヌ・バジリカ聖堂は、800年代に作られ、現在のこの建築物は12世紀初頭に再建されました。
12世紀頃はサント・マドレーヌ・バジリカ聖堂は、マグダラのマリアの遺骨が眠っている場所と信じられ、人気の巡礼地として栄えました。しかし、後に実は遺骨は南仏に埋葬されていることが明るみになると、人々の記憶から忘れられたようにヴェズレーの村は煤けてしまいます。
その後、19世紀ごろに再び歴史的価値が評価されるようになり、現在ではユネスコの世界遺産に登録されています。
神聖な雰囲気を肌で感じられる堂内へ足を進めます。
天井の高さから開放感も感じられます。
奥の窓からは白い光が差し、清らかな美しさがすーっと心に沁みるよう。
思わず足を止めて、しばらくの間ずっと眺め続けていました。
ヴェズレーの丘からの風景
聖堂の裏では、ヴェズレーの丘からブルゴーニュの美しい田園風景を眺めることができます。小さな集落のような村がいくつかある以外は、放牧された牛たちがのんびりと過ごす田舎の景色が目の前に広がります。
普段の都会暮らしの中では触れることのできない田園風景に、しばし心奪われ眺めてしまいます。のんびりとした空気感にちょっとした癒しを感じると共に、どこか遠い記憶に優しく触れるような懐かしさを覚えました。
訪れる人たちは、この景色を眺めながらお弁当を食べたり、それぞれ思い思いにここからの景色を愉しんでいました。
ヴェズレーの街並み
帰りはヴェズレーの住宅地を通って帰りました。活気のあるサンピエール通りとは全く違った様相の、小さなな住宅が立ち並ぶ閑静な村。
石造りの家、丹念に手入れされた庭や玄関口に彩られた植物。どの家も思わず見惚れてしまうような美しい家ばかり。
それぞれの家は丹念に手入れされていて、村全体と調和するような美しさを形作っています。
世界遺産として有名な村であるヴェズレーは、サント・マドレーヌ・バジリカ聖堂やヴェズレーの丘からの景色も勿論美しいのですが、観光地から外れた住宅街も魅力的です。
住宅街に足を踏み入れることで、自然に囲まれた静かなこの村に住む人たちの丹念で慎ましやかな暮らしを垣間見ることができます。
ヴェズレーの奥深い魅力に、より一層心を奪われてしまいます。









