
フランスでは3月の最後の週の日曜日にサマータイムが始まります。時計の針も1時間進み、夜が段々と短くなっていきます。毎日体感で日が暮れる時間が遅くなることが感じられるほどに。サマータイムが春を運んでくれるように、葉っぱの赤ちゃんが顔を出します。そして、あっという間に緑が街を覆い、春が到来。この時期は、厳しい冬が終わる安堵と、これから始まる楽しい夏に向けて、フランス人もどこか気持ちが高揚気味に。そんな春を愉しむフランスの暮らしをお伝えします。
春の大掃除

フランスでは、温かくなるこの季節、Le grande nettoyage de printemps(春の大掃除)が行われます。日本では年末に新年を迎えるために大掃除をしますが、フランスでは、温かくなってきた春に行われるのです。フランスの冬は厳しく、どこか気持ちもどんよりとしがち。フランス人は冬に大掃除をする気にはなれないのです。
でも、春になると温かな太陽の日差しを浴びて、活動的になります。そうだ、冬の間溜まった埃を春に綺麗に掃除しよう。窓を開けて、綺麗な空気を部屋いっぱいに入れて、隅々まで掃除をするのです。確かにこの時期の大掃除は気持ちがいい。綺麗になった部屋で春を迎えるのは、清々しい気持ちになるのです。
大掃除と関係して、行われるイベントは Vide-Grenier(ヴィッド・グルニエ)。日本でいうところのフリーマーケットです。 Vide-Grenierとは屋根裏部屋を空にするという意味があります。古い物を大切にするフランス人は、いらなくなった物を捨てるのではなく、Vide-Grenierで売っちゃうんです。大掃除をして遮断りをする春から秋にかけて、Vide-Grenierはフランス全土で開催されています。Vide-Grenierで意外な掘り出し物を見つけることも。田舎に行くと、庭でVide-Grenierをしているお家を見かけるほどです。
温かな太陽の光を感じるピクニック

フランスでは、温かくなってきたこの季節、週末になると公園でピクニックをする人たちで溢れかえります。晴れ間の少ない冬の間は、家に篭りがちになってしまう分、温かい春の陽気が感じられるこの季節は、外に出たい気持ちに駆られるのです。
先日20℃を越す日曜日、ヴァンセンヌの森を訪れたところ、人で溢れかえっていました。友人たちとワインを食べながらピクニックをする人、ただただ友達たちとボードゲームをする人、芝生に座って本を読んでる人など、それぞれ温かな日差しの中で、それぞれの時間を楽しんでいました。
単純に春の温かな日差しに包まれることは、心地が良いものです。温かな春の日に、ただただ外で美味しいものを食べて、時には好きな仲間と好きなことをして、一日を過ごすということ、フランス人は大切にしています。そんな春のシンプルな愉しみ方をフランス人から教えられるようです。
イースターのチョコレート探し

3月の中旬頃から、街のチョコレート屋さんは、イースターのチョコレートで一色になります。フランスでは、豊穣と繁栄の象徴である卵、鶏、ひよこなどのチョコレートが販売されます。
フランスではイースターは子どもたちにとって楽しみにしているイベントのひとつ。イースターになれば、食べきれないほど多くのチョコレートをいろんな人たちから貰えるのですから。
また、イースターでは、卵探しやチョコレート探しが行われます。大きな庭があるお家では、子たちのために庭にチョコレートを隠します。子どもたちにとって、チョコレート探しは、宝物探しのようで、ワクワクが止まらない様子。「ここにあるかなー」、「あったよー、あったよー」など、毎年楽しい声が聞こえてきます。子どもたちの嬉しそうな様子に、なんだか大人までも幸福感に包まれるのです。
家族で祝うイースター
フランスでは、イースターは家族で集まり、食事を共にします。イースターはキリスト教の宗教行事ではありますが、フランスではどちらかというと、家族で集まるという年中行事の一つとなっています。

この日は、フランスではウフ・マヨネーズがよく食べられます。ウフ・マヨネーズとは、ゆで卵をマヨネーズと食べるシンプルな料理です。マヨネーズは市販のものではなく、手作りされることもあります。なぜ、この日にあえて卵料理を食べるのかというと、卵は無病息災を意味しているから。また、その他に羊料理も伝統的に食べられることもあります。

フランスの冬は厳しい分、春がやってくることは、心から喜びが感じられます。フランス人の春を愉しむ姿勢は、自然や伝統に沿ったシンプルな暮らしそのものです。フランス人からは自然の移ろいの中で、豊かに暮らすということを教えられるようです。