
ぐつぐつとお湯を沸かし、ハーブがたっぷり入った急須にお湯をとぼとぼ入れると、水蒸気に乗ってハーブの香りが立ち上る。思わず「いい匂い」と言葉が出るほど、癒される香りが漂ってきます。お茶よりも大分長めにハーブティーを蒸らし、マグカップに注ぎます。ふーふー言いながら、口にすると、ハーブの優しい味が口の中に広がります。慌ただしい日々の生活の中で、ゆったりとしたいときにハーブティーを飲むと、植物の持つパワーのおかげか、なんだか癒されるような気持ちに。
そんなハーブティーはフランスでは伝統的に飲まれてきました。一時期、忘れ去られたようなこともありましたが、現在は再びハーブの持つ力が見直されています。フランスのハーブティー文化についてご紹介します。
リラックスだけじゃない、ハーブティーの力
ハーブティーを飲むとリラックスするような気分になれるとよく聞きます。植物が持つ力に癒されるのはもちろんですが、実はハーブティーの効果はそれだけじゃありません。本来ハーブティーは、治療のために使われてきました。ヨーロッパでは、ハーブティーは日本の漢方に近い感じかもしれません。
ちなみに、フランスでは昔スペシャリストたちがいて、その人たちがハーブの調合をして人々を治療してきました。特にハーブは修道院で栽培され、代々情報を共有してきました。また、フランスでは魔女と呼ばれていた人たちもその役目を担っていたのだそう。ブルターニュ地方の魔女と呼ばれる家系に生まれた人たちは、現在も森に行って、代々家で伝わるハーブ治療を行っているのだとか。映画「魔女の宅急便」のキキのお母さんのような感じかも知れません。
話を戻しますが、ハーブは、不眠、安眠、うつや落ち込み、喉の不調、むくみ、ダイエット、胃の不調、頭痛など様々な効果があると言われています。
例えば、カモミールは古代医学書にも記載されているほど、ヨーロッパの伝統的な薬草で、胃腸の障害、抗炎症作用やリラックス効果などがあるとされています。ジャーマンカモミールのハーブティーは風邪の引き始めに飲むといいと言われています。
その他に、タイムは呼吸器系の不調のときに有効で、殺菌効果もあります。咳が続くときは、タイムのハーブティーを飲めば治るとされていて、必ずタイムのハーブティーをストックしている家もあるほどです。
ハーブの効能についてだけで、一冊本ができてしまうほどなので、全てをここで書くことはできませんが、それほどまでに奥深い世界なのです。
ハーブ専門店の復活
近年フランスでは、昔は庶民の薬局だったherboristerie(エルボリストリ)と呼ばれるハーブ専門店が再び人気となっています。独自に調合されたハーブティーや塗り薬や飲み薬などが販売されています。病院に行くほどでもないけれど、できれば薬に頼りたくない時などに、ハーブ専門店を訪れるのだそう。自然治療を好む人を中心に人気があります。現在パリでは数店舗herboristerie(エルボリストリ)があり、時間帯によっては、お店の前に列ができていることがあるほど、多くの人たちに支持されています。
ハーブ専門店では、カウンセリング時に、自分の不調な部分を伝え、それに合うハーブティーを選んでくれます。お店によっては、独自にハーブを調合してくれることもあるのだそうです。
春はデトックスの季節
フランスでは、春はデトックスの季節だと言われています。なぜ、この時期にデトックスをするのかというと、冬の寒い時期は、とにかく毒素や老廃物が溜まりやすい。そのことが原因で、春は原因がよくわからない身体の不調が起こると言われているからです。そのためにフランスでは春にデトックスすることが大切だとされています。
デトックス用のドリンクなども販売されていますが、手軽にデトックスできると人気なのがハーブティーです。スーパーのハーブティーコーナーで手軽に購入することもできます。フランスの紅茶専門店クスミティーやパレ・デ・テなどでもデトックス用のハーブティーが販売されています。紅茶専門店のものだけあって、飲みやすくて、普通に美味しいハーブティーです。
ハーブ専門店でも春はデトックス用のハーブティーを購入することができます。私もこの季節は毎年ハーブ専門店のデトックスのハーブティーを飲んでいます。独特の苦い味わいと匂いに飲みにくいと思いながらも、3週間ほど毎日飲み続けると、老廃物が排出され、身体が軽くなったように、身も心もすっきりした感じ。なんだか春を気持ち良く迎えられているようなそんな感覚を得ることができるのです。
ハーブティーは、リラックス効果があり、口にするだけで、どこかホッとすることができるような気分になれます。それ以上に様々な効能や効果のあるハーブティーですが、難しいことを考えず、手軽にお茶の感覚で飲むことができるのが嬉しいところ。実際、多くのフランス人も紅茶感覚でハーブティーを飲んでいます。気軽にハーブティー生活を始めてみてはいかがでしょうか。



