秋らしい柔らかな日差しが、街を包み込むようになりました。朝はちょっぴり冷え込むけれど、天気のいい日は薄手のコートもいらないぐらい、過ごしやすい季節。この時期、アウトレジャーの一環として、栗拾いやセップ茸狩りに出かけるのも、秋の愉しみのひとつなのです。そんな気持ちの良い秋に、フランス人が愉しむ栗拾いとその調理法をお伝えしてみたいと思います。
週末の栗拾い
パリから車を1時間ぐらい走らせれば、豊かな田園風景や森が広がる田舎町へと様相が変化します。「こんな身近にこんな自然があったんだ。」とちょっぴり驚いてしまうほど、フランスには豊かな自然が残っているのです。
この季節、森の葉っぱも赤や黄色に色づき、郊外の森を散歩するのはとても気持ちのいいものです。そして、秋の楽しみといえば、秋の味覚狩り。
フランスで、秋の味覚の代表といえば、セップ茸。セップ茸は、香り高くて、秋に必ず一度は食べたい秋の味覚です。パリ郊外の森でもセップ茸狩りをできるとは聞きますが、難易度が高く、素人にはなかなか気軽に行えないもの。キノコ狩りは食べられるキノコとそうでないものの知識が必要なのです。
一方で、栗拾いは、子どもと一緒に気軽に楽しみながら拾えるので、秋のアウトレジャーにはもってこい。
私たちが栗拾いにやってきたのは、パリから車で1時間ほどに位置するとある森。車を降りて、森の中を歩いて行くと、栗がたっぷり入った籠を持って帰っていく人たちにすれ違います。これは豊作になりそうな予感。期待に胸が膨らみます。
どこに栗があるのだろう。下を見ながら歩いていくと、あそこにも、ここにも、栗が一面に落ちています。「すごい、すごい、いっぱいあるよー!」子どもたちも喜んで、どんどん栗を拾います。
栗にはイガがありますが、ここの栗はイガから出ているものが多くて、子どもたちも簡単に栗拾いができます。
マルシェで売られている栗に比べて、自然の中にある栗は小さいものが多いので、なるべく大きな栗を探します。「こんな大きな栗が見つけられた!」と、まるで宝物探しのように、愉しむ子どもたち。
森の中に入っていき、誰にも拾われていない場所を探します。無心で探し続け、気がついたら、もう2、3時間も探していました。こんなに食べきれない!というぐらいの栗を拾うことができました。
ただただ栗を拾い歩いただけでしたが、うーん、気持ちがいい!不思議と清々しい気持ちになれ、日常の疲れが癒されたような気になりました。森の美味しい空気を最後に吸い込み、森を後にします。
焼き栗にして食べましょう
日本では栗といえば、栗ごはんが一番秋の味覚を堪能できる調理法ですが、フランスではもっとシンプルにいただきます。フライパンで焼き栗にして食べるのが、一般的な食べ方。
まず包丁で栗に切れ目を入れます。この時に栗を傷つけないように注意。そして、フライパンに栗を入れて、蓋をして、弱火で焼いていきます。パチパチという、栗が焼けていく音がします。どことなく栗の香ばしい匂いが漂ってきます。20分ぐらいしたら、蓋をあけてみましょう。そして栗を裏返します。片面の焦げ目がついた栗は美味しそうで、ひとつだけでも食べたい!衝動にかられるのを我慢。出来上がりまでもう少しです。5分ほど待って、反対側に焦げ目がついたら、できあがり。
ほくほくのうちに焼き栗をいただきます。切れ目から栗が少し顔を出しているので、簡単につるりと皮が剥けます。ほくほくの栗は香ばしさとほんのりとした甘みがあって、ほっこりとした美味しさ。飽きのこない甘さ加減なので、無限に食べてしまいそうになるほどです。焼き栗は冷めてしまうと美味しさも半減されるので、温かいうちに食べ切りましょう。
フランスでは、この季節から冬の終わりぐらいまで、街頭やクリスマスマーケットで、焼き栗の屋台が立ちます。屋台の前を通ると焼き栗の栗の香ばしい匂いが食欲を注います。とりわけ凍るような寒さの中、焼き栗を一口食べると、不思議とじーんと身体が温まるような気に。冬空の下で食べる焼き栗は特別なのです。焼き栗はフランスの秋冬の風物詩なのです。
秋の栗拾いでは、自然の中で栗を拾う喜びは勿論のこと、森の中で栗を拾い歩くことで、日常の生活の中で、引っ付いてきた様々な感情から解放されたような気になれます。実り豊かな秋の森に身を置くだけで、心がデトックスされているのかもしれません。
そして、持ち帰った栗をすぐに自宅で調理して食べるのは、自然の恵を直に感じられる良い機会。秋の栗拾いでは、色づく森に癒され、栗の美味しさを堪能することができます。栗拾いは秋ならではの愉しい休日の過ごし方です。





