フランスには、小さくても魅力的な街や村がたくさん存在します。絵本に出てくるような可愛らしい街並みや、どこか懐かしさが感じられる素朴な風景があります。そんなフランスの小さな街を散歩するこのシリーズ。今回はピカルディ地方の河口に位置する小さな街、サン・ヴァレリー・シュル・ソンムにご案内いたします。
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頬に触れる風はまだまだ冷めたいものの、日差しはどこか春の陽気さを感じさせられる3月のある日、ピカルディ地方のソンム川河口に位置する小さな街、サン・ヴァレリー・シュル・ソンムを訪ずれました。車から降りると、カモメが気持ち良さそうに空を飛びかう姿が目に入りました。そして、どこからかふんわりと磯の香りが漂っています。ここからは海は見えなくても、その存在が感じられます。
河口沿いの遊歩道


サン・ヴァレリー・シュル・ソンムの街には、河口沿いに一本の長い遊歩道があります。水辺には、ヨットが浮いていて、ちょっとしたリゾート地ぽい雰囲気。サン・ヴァレリー・シュル・ソンムがあるこのソンム湾は、パリから比較駅、近い海辺のリゾート地。夏になると避暑地として多くの観光客が訪れるのだそう。

旧市街地に向かって足を進めていくと、河口の自然の美しさが感じられる風景が目に入ります。海の青さのようなソンム川の反対側には、淡い色合いのグラーデーションがあります。まるで砂が絵を書いたよう。自然が織りなす美しさがここにはあります。惹き込まれるように、多くの人が足を止めて、この景色を眺めていました。
中世の街並みが残る街

どれぐらい遊歩道を歩いたでしょうか。目の前に、煤けた建築物が現れます。サン・ヴァレリー・シュル・ソンムは、古い歴史を持つ街。なんと古代ギリシャからその歴史は始まるのだそう。なんとか戦火を逃れ、中世の街並みが現在まで保存されています。

中世の街並みの中でも、最も印象的なのが、サンヴァレリー教会。石を一つ一つ積み上げて造られたこの教会は、建築当日からまるで時が止まったかのよう。なんとも言えないぐらい煤けた教会を前にすると、中世の空気感を肌で感じ取ることができます。

サンヴァレリー教会の裏手からは、ソンム川河口を一望できます。遠くまで続く、河口の豊かな景色を前にすると、ここは中世からずっと変わらない河口の風景なのだろうと思わせてくれるような、人の手がついていない、ありのままの自然の美しさが感じられます。そして、このソンム川の河口は季節、時間によって表情を変えることでしょう。自然の雄大さがここにはあります。

サン・ヴァレリー・シュル・ソンムの旧市街地には、フランスの国民的ヒロイン、ジャンヌ・ダルクが通ったと言われている門もありました。改めて、サン・ヴァレリー・シュル・ソンムは、歴史的な街なのだと感じさせられます。

旧市街地には、石造りやレンガ造りの建物が立ち並び、中世が感じられるような街並みが残っています。河口という大自然がすぐ隣にあるからでしょうか、路地裏などは、心地のよい静けさが漂っています。ただ散歩をするだけで、不思議と懐かしさに出会えるようなそんな気分になりました。
アザラシにも出会えるソンム湾

サン・ヴァレリー・シュル・ソンムから車で十数分の沖で、なんと野生のアザラシが見れるということで、足を伸ばしてみました。
砂丘や湿地のあるソンム湾は、アザラシや野鳥など野生動物が生息している自然保護地区でもあります。アザラシが見れるソンム湾の浅瀬へは、砂浜を歩いて行きます。

ちょうど訪れた時間帯には、太陽の光が砂浜を照らし、銀色の景色が広がっていました。自然が描く美しい景色の中を歩いて行くのは、気持ちよく、不思議と心が浄化されたような気持ちに。

そして、何十分と歩くと、反対側の沖にアザラシが気持ちよさそうに寝転んでいる姿が見れました。その様子の可愛らしいこと。肉眼では遠くにしか見ることができませんが、自然の中で野生のアザラシが見れたことに感激を覚えたほどです。
自然と言えば、海や山の美しさは有名ですが、今回の旅では河口の美しさを発見することができたように思います。サン・ヴァレリー・シュル・ソンムでは、河口の神秘的な美しさと、その広大な景色の隣に昔から築いてきた素朴な人々の生活の営みを感じることができました。