ヴェルノンの水車小屋

フランスには、小さくても魅力的な街や村がたくさん存在します。絵本に出てくるような可愛らしい街並みや、どこか懐かしさが感じられる素朴な風景があります。そんなフランスの小さな街を散歩するこのシリーズ。今回はパリから電車で約1時間のノルマンディ地方の小さな街、ヴェルノンにご案内いたします。

前回ご紹介したモネの家のある街ジヴェルニーに隣接するのがヴェルノン。モネの庭だけを訪れて、パリに戻ってしまうという人も多いのですが、 ヴェルノンは中世の街並みが残り、素朴な雰囲気が残る街なのです。

街のシンボル水車小屋

ヴェルノンのセーヌ川

ヴェルノン・ジヴェルニー駅から10分ほど歩くと、街の中心部に着きます。まずは電車から見えたセーヌ川へ向かいます。

ヴェルノンのセーヌ川

ここに流れるセーヌ川は、パリのセーヌ川とは全く違う印象を受けます。パリのシンボルであるセーヌ川は、そこに暮らす人たちの感情を呑み込んでいるかのよう。その時々で印象の変化があるかのように感じられるのです。時にロマンチックだったり、悲しみを含んでいたり。ヴェルノンを流れるセーヌ川は、自然の条理に従うかのように、ただただ静かに流れているような印象を受けます。同じ川なのに流れる場所によってこんなに印象が違うとは。なんとも不思議な気持ちになりました。

セーヌ川に掛かる橋を渡ると、街のシンボル的存在のル・ヴィユムーラン(古い水車小屋)が目に入ります。この古い水車小屋は16世紀に建てられたのだとか。木造の製粉所で、洪水により過去何度も壊されてしまったようですが、近年は街の遺産として市が管理しているとのことです。

街のシンボル的存在のル・ヴィユムーラン(古い水車小屋)

屋根はすっかり色褪せた木骨造の水車小屋からは、かつてこの街に住んでいた人々の暮らしが感じられるかのよう。目をつぶるとかつて片田舎だったヴェルノンの景色が浮かんでくるようです。そして現代にこのような中世の建築物が残っていることに、ちょっとした感動を覚えるほどです。

トゥーレル城

ヴェルノンのトゥーレル城

水車小屋の隣には、トゥーレル城があります。要塞としての役割をするために、トゥーレル城は建てられました。華やかな城というよりは、戦に備えた城と言ったらいいでしょうか。私たちがイメージするフランスの城とは違います。ヴェルノンはその歴史の中で一時的にイングランド領になったりと、戦火に見舞われた街という一面がありました。

ヴェルノンのトゥーレル城の公園

暗い側面のある街ですが、現在はそんな街の傷も人々の記憶からすっかり消え去って、のどかなセーヌ川の横で静かに歴史を見守ってきたトゥーレル城は佇んでいます。私が訪れた初夏の時期は、トゥーレル城の公園では、芝生の上でのんびりと過ごす人々の姿があり、ただただ平和な雰囲気がありました。

素敵な木骨造の建築物

ヴェルノンの街並み ヴェルノンの街並み

さあ、街の中心部に戻りましょう。ヴェルノンの街を歩いていて、目に入るのが木骨造の建築物。木骨造はフランスやドイツでよく見かけられる建築方式の一つで、木材で骨組みを作り、その間に石材やレンガを壁を作ります。特に木骨造の建築物はノルマンディーに多いような印象を受けます。

この木骨造の建築物は、どこか絵本の中の世界から飛び出してきたようで、こじんまりとして可愛らしい。ヴェルノンの街には、木骨造の建築物が多く残り、街全体としてメルヘンチックな雰囲気を醸し出しています。

ノートルダム教会

ヴェルノンのノートルダム教会

ヴェルノンにあるノートルダム教会は、ノルマンディーの中でも古い歴史を持つ教会。11世紀に建てられました。目の前にしただけで、歴史の長さが感じられる教会です。訪れた日は、ちょうどセレモニーがあり、中に入ることはできませんでしたが、教会の中も訪れてみる価値のある内部だそうです。

ノートルダム教会は、ジヴェルニーに移り住んだモネが描いたということでも有名です。モネは、ノートルダム教会に魅せられて何枚かの作品を描いています。のんびりとしたヴェルノンの空気感が伝わる美しい絵画です。

ヴェルノンには、ノルマンディっぽいのんびりとした空気が流れていました。この二つの地を訪れてみて、モネがジヴェルニー、ヴェルノンのこの地を愛した理由がわかったようになりました。ゆっくりと街を散歩するだけで、どこか癒されリフレッシュすることができました。

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