アゼ・ル・リドーの街並み

フランスには、小さくても魅力的な街や村がたくさん存在します。絵本に出てくるような可愛らしい街並みや、どこか懐かしさが感じられる素朴な風景があります。そんなフランスの小さな街を散歩するこのシリーズ。今回はロワール地方にある古城で有名な村、アゼ・ル・リドーにご案内いたします。

数奇な運命を辿ったアゼ・ル・リドー城

アゼ・ル・リドー城

おとぎ話に出てきそうな、白く輝く優雅なお城――。アゼ・ル・リドー城を目の前にしたとき、まずそんな印象を抱きました。

「夢のルネッサンス」、「ルネッサンスの最高傑作」とも称されるアゼ・ル・リドー城は、1518年から1527年にかけて建設されました。フランソワ1世の王室財務官であったジル・ベルトロと、その妻フィリッパ・レバイによって築かれたお城です。

小さな城ながら、優美で華やかなこのお城は、完成後、思いもよらない数奇な運命をたどることになります。

ジル・ベルトロの失脚後、所有者を失ったこの城は、時代の移り変わりとともに次第に使われなくなり、いつしか放棄されたような状態になってしまいます。

その後、19世紀に入り、フランス革命を経たのち、シャルル・ド・ビアンクール侯爵によって大規模な改修が行われ、現在の美しい姿へとよみがえりました。

そして1905年、アゼ・ル・リドー城は国の所有となり、現在では一般に公開されています。

水面に映る古城

アゼ・ル・リドー城

アゼ・ル・リドー城の魅力は、水面に映るその美しさだと言われています。晴れた日は、まるでお城が水面から浮かび上がってくるのではないかと思うほど、美しく水面に映っています。文豪のバルザックが「アンドル川にきらめくダイヤモンド」と称したほどで、アンドル川のほとりに佇むその姿は、他の城にはない、独特の魅力を放っています。

のんびりとした空気の漂うイギリス式庭園

アゼ・ル・リドー城

アゼ・ル・リドー城

アゼ・ル・リドー城は、ロワール地方では珍しいイギリス式庭園。庭園にはロワール川の支流アンドル川が流れ、のんびりとした時間が流れています。実際、お城を訪れるだけでなく、この庭園でピクニックをしたりして、のんびりと過ごす人たちの姿がありました。また庭園には、カフェが併設されていて、ここでは軽食を取ったり、コーヒーやビール、ワインを楽しむ人たちで賑わっていました。ちょうど訪れたのが夏のバカンスシーズンというのもあるかもしれません。日頃の喧騒を忘れ、アゼ・ル・リドー城を眺めながら、ゆったりと流れる時間を過ごす――。そんなひとときが、何よりの贅沢のように感じられました。

アゼ・ル・リドーの街並み

アゼ・ル・リドーの街並み

アゼ・ル・リドーの街並み

アゼ・ル・リドー城と同じく、白い建築物が特徴的な街並みがここにはあります。この小さな街には、観光地というのもあり、ホテルやレストランが立ち並んでいます。ガヤガヤとした雰囲気はなく、アゼ・ル・リドー城の空気感そのままに、街全体が優雅でのんびりとした空気感が漂っていました。

アゼ・ル・リドーの街並み

アンドル川沿いはどこか懐かしさが感じられる素朴な雰囲気が漂っていました。川では子どもたちが楽しそうに遊び、公園では、地元の老人がペタンクで遊んだり、ピクニックを楽しむ地元の人たちの姿がありました。観光地とは違った地元民の日常の風景がここにはありました。

アゼ・ル・リドーの街並み

訪れたときは残念ながら閉まっていましたが、アンドル川沿いにはレストランもあり、川を眺めながらのんびりとアペロや食事を楽しむことができるようです。こうした場所で地元の人たちに混じってゆっくり過ごすのも、フランスの小さな街を訪れる醍醐味のひとつなのかもしれません。

アゼ・ル・リドーは、おとぎ話の中に出てくるようなお城だけでなく、ここに流れるゆったりとした時間も魅力的な街です。アゼ・ル・リドーを思い出すと、白く輝くお城、ゆったりと流れるアンドル川の素朴な風景、その辺りでのんびりと過ごす人たちの姿が浮かびあがってきます。この場所で感じた空気感がふと心によみがえってくるようです。