イェーヴル・ル・シャテルの街並み

フランスには、小さくても魅力的な街や村がたくさん存在します。絵本に出てくるような可愛らしい街並みや、どこか懐かしさが感じられる素朴な風景があります。そんなフランスの小さな街を散歩するこのシリーズ。今回はサントル ヴァル ドゥ ロワール地方にあるにイェーヴル・ル・シャテルご案内いたします。

歴史のある村

イェーヴル・ル・シャテルの街並み

フランスの中部都市オルレアン近くののんびりとした田園風景の中を、車で走り続けるとイェーヴル・ル・シャテルという小さな村にたどり着きます。まるで時が止まったと錯覚してしまいそうになるほど、中世の街並みが残る村。人口200人ぐらいと、こじんまりとした村です。

イェーヴル・ル・シャテルはその立地の条件の良さから、歴史に翻弄された村です。その歴史は古く、ローマ街道の通行を支配する重要な村でした。その後、フランス王領へ編入され、13世紀初頭に城が再建され、100年戦争中には重要な要塞の一つになりますが、16世紀にはその役目を静かに終え、城の管理も行われなくなって、歴史上からその姿を消していきます。

城塞

城塞 城塞

イェーヴル・ル・シャテル村の中心に位置する城塞です。現在は、城の形は留めていませんが、城塞が当時のままに保存されています。かつて重要な要塞の一つだったということがわかるほどに立派な中世の要塞が保存されています。はるか遠い昔の出来事ですが、それでも嘗ての緊迫した情勢が、肌で感じられるようです。同時に、その役目を終えてもなお、そっと静かにそびえ立つ城塞からは、廃墟ならではの儚さが感じられ、この場所特有の魅力となっています。

中世の街並み

イェーヴル・ル・シャテルの街並み

イェーヴル・ル・シャテルの街並み

イェーヴル・ル・シャテルの街並み

門を潜り抜けると、まるで中世の街に迷い込んだのではないかと錯覚するほど、見事に調和した石造りの建築物が立ち並んでいます。イェーヴル・ル・シャテルの建築物は、丹念に手入れされ続けてきたことが伝わってくるほど、どの家も美しい。イェーヴル・ル・シャテルが「フランスの最も美しい村」に加盟していることも納得できるほど、村のどこを切り取っても絵葉書になりそうな風景が広がっています。 また、イェーヴル・ル・シャテルは、「花のある街」としても有名です。私が訪れたときは、猛暑が続いた夏の終わりだったため、以前見た、花が至る所に咲き誇る村の風景を見ることはできませんでした。それでも、薔薇などの花がところどころに咲き、村を彩っていました。 晩夏の美しい日差しの中、生命力あふれる緑に包まれた村は、花が咲き誇る季節とはまた違った魅力を見せてくれました。緑豊かな村の風景もまた、この村のひとつの魅力なのだと思います。

サン・リュバン教会

サン・リュバン教会

サン・リュバン教会

イェーヴル・ル・シャテルの村のはずれに、サン・リュバン教会という未完成の教会があります。13世紀に教会建築の許可が降りたものの、100年戦争後、完成されることはなく…。現在はゴジック式の立派な外壁だけが残っています。村のはずれという立地も関係しているのでしょうか。未完成のこの教会は、教会としての役割を与えられることなく、いつしか忘れられていったそうです。未完成の教会の中に立つと、廃墟の美しさの中に、一抹の寂しさが込み上げてくるようです。

イェーヴル・ル・シャテルの街並みイェーヴル・ル・シャテルでは、美しさと儚さが同時に感じられました。同時に、この村に住む人々が大切に守り続けてきた建物や美しい風景への想いも感じられました。ここに暮らす人の村への想いが詰まった風景と時の流れを感じさせる廃墟を眺めていると、イェーヴル・ル・シャテルの奥深い美しさに触れることができるようです。