
フランスに暮らしてみて感じることは、フランス人の古いものに囲まれた暮らしが素敵だということ。フランス人の家には、古い家具やオブジェに彩られた空間があります。そんな古いものを大切にするフランス人の暮らしを紹介します。
ブロカントでお気に入りを見つける

フランスはどんなに小さい街であっても、年に何度かブロカントが開催され、年齢に関係なく多くの人で賑わいをみせます。ブロカントに足を踏み入れると、そこは時代が交差したアンティークの世界。フランスのブロカントでは、アンティークの置物や家具、インテリア小物、食器やカラトリーや古本、古い絵葉書などを扱っている露店が立っています。
ブロカントによっては、こんなもの誰が買うの?なんて思うような廃材があったり、時には雑多な印象を受ける時もあるほど。ブロカントには、ありとあらゆる骨董品が溢れているのが特徴かもしれません。

この膨大な骨董品の中から自分のお気に入りを見つけるのが、ブロカントの楽しみ。自分だけのお宝を見つけるという感じでしょうか。多くのフランス人の家には、お気に入りの骨董品に囲まれた暮らしがあります。自分の住む街のブロカントだけでなく、旅行先でふらりと訪れたブロカントなどでも、徐々に買い集めていったお気に入りの骨董品たち。こういったフランス人の暮らしに出会うときは、その人のセンスに触れることができるようで、ワクワクする瞬間です。
現在69歳になるフランス人女性の家を訪れたときの話です。今まで見たことのない、赤色の照明がありました。「素敵ですね。」と私が言うと、「この照明は元々は照明ではなかったの。ブロカントで売られていたものを照明にアレンジしたの。」と教えてくれました。
また他のフランス人の家では、ブロカントで買ってきた商業用の大きな古い瓶に、ドライフラワーを詰めて、オブジェとして部屋に飾ってありました。商業用の瓶はブロカントでよく見かけるので、このような使い方もあるのだと驚いたのを今でも覚えています。
これは廃材に近いものを作り替えるという例でしたが、ブロカントで購入した家具や小物がすっぽり暮らしの風景に馴染んでいるのを見かけます。以前の所有者の手を離れ、新しい主人の元へ。再び新しい価値としてその人の暮らしの一部分になっている。フランス人は古いものから、新しい価値を生み出すのが本当に上手だと感じるのです。
家族から譲り受ける古い家具やオブジェ

フランスではいらなくなった家具やオブジェを簡単に処分するということはありません。特に古い家具は、家族で大切に受け継いでいくことが多いのです。フランス人の家には、今のデザインにはないアンティークの箪笥やテーブル、椅子などがあります。フランス人の家で家具について質問をしてみると、必ずといっていいほど、「家族から譲り受けたの。」という答えが返ってきます。

そんな我が家もフランスの義理祖父母が他界したときに、片見分けとして、いくつかの古い家具やオブジェを譲り受けました。そのときに、「この家具はね、曾祖母から譲り受けたもので…。」、「この本は曽祖父がコレクションにしていたもの。」、「このワイングラスは義理祖父母が結婚するときに、購入したものでね。」などと、叔父から家具やオブジェに関する家族の思い出話を教えてもらいました。それを聞いた後、家族のストーリーと共に家具やオブジェが我が家にやってきたような気がしたものです。
フランスでは、このようにして、家具やオブジェが思い出と共に家族のストーリーを紡いでいく。家具やオブジェを家族代々受け継いでいくことは、ただ物が単に受け継がれていくだけではない。そこに次々に思い出や想いが装飾されていくようで、とても素敵なことのように思います。
古いものと新しいものの融合
フランス人は全ての家具はアンティークなのかというと、そういう訳ではありません。フランス人は、勿論IKEAで家具を購入することだってあるのです。フランス人の家に行ってみて思うのは、インテリアや装飾の中で、古いものと新しいものを融合させるのが上手だということ。
例えば、IKEAのモダンな本棚にアンティークのオブジェなどを飾っていたり、キッチンは全てIKEA仕様なのだけれど、アンティークのお皿やカラトリー、昔ながらの銅のフライパンやお鍋に囲まれたキッチン。古いものと新しいものが適材適所でセンス良く選ばれていると感じることが多いのです。
ブロカントでお気に入りのアンティークを探したり、リメイクをしたり、また家族で家具を受け継いでいく。フランス人のライフスタイルからは、古いものを大切にする精神が強く感じられます。フランス人の豊かな生活は、受け継がれてきた価値観のひとつである古いものを大切にするという精神から来ているのかもしれません。